
体験ダイアリー · 物語としての場面
目に見えないものの価値:帰り道に残る余韻
彼女は長年、目に見える成果ばかりを追ってきました。その夜、価値は数字の外にもあると知ります。
彼女の仕事は数字の世界だった。売上、評価、効率——すべては測れるもので語られた。だからこそ、測れないものに価値を見出すのが苦手だった。スタジオに来たのも最初は半信半疑で、「リラックスに、これほどの手間が要るのか」と思っていたという。
温かい湯に浸かり、セラピストの手のひらがゆっくりと背中をたどるうちに、彼女の中で何かが静かにほどけた。終わってからも、温もりはしばらく体に残り、帰り道の空気までが柔らかく感じられた。それは報告書には書けないけれど、確かに受け取ったものだった。
彼女は帰りの車の中で思った。価値とは、残るもののことだ——余韻として心に残り、明日を少しだけ軽くするもの。その夜から彼女は、目に見えないものの値段を、もう笑わなくなった。

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