
体験ダイアリー · 物語としての場面
恐れ:ノートの不安が、笑いに変わるまで
彼女のノートには、心配ごとが几帳面に並んでいました。その夜、その几帳面さがほどけていきます。
彼女は何でもノートに書く人だった。仕事の懸念、体の不調、明日の天気まで。予約の前夜も、ページには「大丈夫だろうか」という文字が並んだ。スタジオに着いてからも、最初の十分間は落ち着かず、お茶を両手で包んだまま、部屋の隅々を確かめるように眺めていた。
温かいお風呂に入り、湯気に包まれるうちに、呼吸が少しずつ深くなった。セラピストは急がず、声も小さく、手のひらの温もりだけで彼女を安心させていく。やがて彼女は小さく笑って言った。「私、今日は心配をサボることにします」。ノートに書く代わりに、力を抜く。初めての試みだった。
帰り際、彼女はノートを開き、その日のページに一行だけ書いた。「今日は何も心配しなかった。それで、何も悪いことは起きなかった」。その一行が、彼女の新しいお守りになった。

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